サンサンコーナー
ブランディングⅢ
前回は小松のブランディングの1つ“小松うどん”について話しました。
今回は我が業界、不動産業界におけるブランディングについて考えてみたいと思います。石川県には不動産業を営む会社が約1000社あります。その内小松・能美地区には100社余りあります。これらがそれぞれ何々不動産としてブランディングを行っている訳です。
何々不動産と言えばお客様に信頼していただき、購入依頼、販売依頼、賃借依頼、賃貸依頼その他不動産に関する仕事をさせて頂く訳ですが、その信頼とは一体何なのでしょう。 私はこの「信頼」にこそブランディングの本質といいますか影響があるのではないかと思います。お客様の信頼を得ることこそがブランディングを進めることであると言う事であれば、信頼を得るとは具体的にはどういう事でしょう。
まずはお客様に安心を与えることです。安心を与えるとは、物件を知り物件に対する知識(法律―民法・都市計画法・建築基準法等)を得、その情報を正確にお客様に伝えることが第一ではないかと思います。
第二にお客様のニーズを的確にとらえ、迅速に答えるようにする。このニーズというものはお客様個々に個性があり、一人ひとり違うのでそれらを的確に知る事は本当に大変なことだと思います。
次に売り手(貸し手)と買い手(借り手)の利害の調整です。これらは常に反対です。売り手は常に高ければ高い程良く、買い手は常に安ければ安い程良いという全く反対の利害関係なのです。この売り手と買い手の合意を成すにはどうしたら良いか、そこにその物件の適正な価値評価が必要となってきます。
この物件を評価する事こそが私達不動産業者が常に求められることなのではないでしょうか。しかもこの評価は常に一定ではなく、その社会情勢、景気の動向によっても大きく影響を受けますし、その物件自体の形状、間口、奥行、方向、近隣の生活利便施設、近所の居住の方々の性格、町の雰囲気、天候、地盤、地質、道路状況、教育環境その他いろいろの状況を勘案して評価します。そしてその物件の人気度(とても抽象的ですが)も評価に大きな影響を及ぼします。
そして常にお客様を裏切らない誠実さ、プロとして、人間としての誇りをもった活動こそが不動産業のブランディングに繋がるのかもしれません。
しかし物事には常に表と裏、良い面と悪い面があります。例えば人が多く集まる所は賑やかで、生活も便利というプラス面があり、その反面騒がしい、うるさいというマイナス面もあります。便利さは別の不便さを現出させます。その事をお客様に納得していただくことが大切です。バブル時の営業でお客様に良い事ばかりを伝えて不都合な事を一切言わないで後でトラブルになるという事がありましたが、これは信頼ではなく不信頼という逆のブランディングかもしれません。私達不動産業者はとてもデリケートな業種でハードというよりソフトこそがブランディングの要因かもしれません。そのデリケートなブランディングされたソフトによって土地建物といったハードが出来上がり、それを安全、安心に喜んで所有していただく、これこそが私達不動産業界のブランディングであると思っています。
2011.11.14 | 11:39