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東北関東大震災に思う

 先日東北関東地域に、日本史上に例のないマグニチュード9という驚くべき地震が起きました。亡くなられた方々、被災された方々、その縁者の方々に対しまして、心からお見舞い申し上げます。
 この地震は平和な日本、豊かな日本、整備された日本を直撃しました。多数の死傷者を出し、住居や工場、事務所等の建物、道路、水路、田んぼ、送電施設、水道施設等のインフラをことごとく破壊し、地元の人々を奈落の底に突き落としました。そしていまだに行方不明者が多数という大惨事です。
 ここに今人間の作り上げてきたもののもろさが、人間が作り上げた都市というもののもろさが、そしてそのシステムのもろさが露呈したと思います。
国、地元は自衛隊、消防隊等を投入して、その道路網の回復、電気水道の復旧に躍起となっています。とてもご苦労様で、その働きには頭が下がります。また災害を受けなかった各自治体が応援し、受け入れに躍起となって日本国民一丸となってその復興に力を注いでいます。これは危機における日本人の一致団結力の強さを示すものだと思います。また日本人の資質の素晴らしさが出ていると思います。これを見ていると、日本というのはいいなあとつくづく感じます。
 しかしここでその良さばかりに眼を向けているわけにはいかない事になってきました。平穏な時には何気なく見過ごされた事が、この危機に直面し如実に表面化してきた事があります。それは原子力発電の問題です。
 原子力発電は、「絶対安全です」という神話によって各地に造られてきたのです。私も以前原電施設の見学に行った時に質問したのですが、担当者は「絶対安全です」と断言しておられました。私は絶対安全なら、なぜ東京のど真ん中に造らないのですかとさらに質問すると、東京は地価が高いからと答えられました。
経済的な問題なら、毎日福島から東京へ送電するコストの方がより高くつくはずですよと言うと、担当者は黙ってしまって他の話題に変えてしまわれました。
 私はこの世に「絶対」という事はないと思っているのですが、原電の担当者は「絶対」と言っていました。ところが今回は「想定外」であったといとも簡単に「絶対」を翻しています。
 原電の事故、否これは事故ではなく人災なのです。この問題は私達が簡単に電力を求め消費してきた結果なのです。でも私にとって今度の災害は想定外の事ではなく想定の範囲なのです。私は政治や経営は未来に対する想定をし、国民に安心を与える事だと思うのです。実行には必ずリスクが伴うのです。この今の原電のリスクを国民に知らしめて判断を下していたのなら、国民はそのリスクを受けなければならないと思います。しかしこれが「絶対安全」というウソによって造られたとしたら、国民は騙されたと思うでしょうし、東電の社長は逃げ隠れしなければならないでしょうし、この責任を取らねばならないでしょう。でも一企業がそれを賄えるとはとても思えません。被害は地震の問題から原子力の問題へと変わっていっているのです。
 また毎日放射線のレベルの発表がありますが、影響がとても大きいという事で正確に報道されているのかとても心配です。今の報道の状況は第二次世界大戦の頃にとても似ているような気がするのです。どれだけのレベルだから人体に影響ありません、乳児に対しては危険だが成人には大丈夫ですと政府の担当者が作業服を着て言っているが、本当に専門家でもない者が適当に言っているのではないだろうな、御都合学者が適当に「絶対大丈夫」と言っているのではないやろかとか、いろいろ疑心暗鬼になります。
 報道する側からすると、本当の事を言うと国民が動揺するからと少しのウソを発表する。とこんな事になるともうこれはどうなるんやという事になるわけです。しかし国民の側にも冷静に対応する能力があるかというと、買い占め行動などを見る限りこれもまた問題です。これはもうドロ沼という事で、紙面も尽きてきましたのでこのドロ沼に浸かったままで次回に回したいと思います。

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