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老人が老人であるために

 最近横断歩道の端とか、梯川のたもと等でグリーンのジャンパーを着て小学生の登下校を見守っている老人たちをよく見かけるようになりました。近頃は物騒な事が多いので、老人たちが立ち上がり、子供たちを守ろうということで始めた運動らしいです。寒い中、暑い中、雨の日、雪の日etcととてもご苦労様です。ジャンパーを着ている方々も生きがいができて、とても溌剌としているように感じられます。世の中に役立っている事が生きがいとなって元気でいられるのかもしれません。
 少子高齢化時代と言われて老人が本来の老人らしく扱われなくなって久しくなります。頑固やとか、口やかましいとか、二言目には今の若い者はと言う、とかはまだ良いほうで、ひどいのは汚いとか、とろいとか自分の親に対してなんと言うのかと思うほどひどい言葉を使い、老人を疎外するような世の風潮です。   その結果若い人は独立して住み、老人のみの世帯が増え続け、老人向けのマンションや老人の授産施設とかで老人を集めて管理しようとか、まとめて面倒を見てもらう体制が出来上がってきています。我々の不動産業界もその例に漏れず年寄り専門のマンションが活況を呈しているようです。私は老人専用のマンションなんか大嫌いですから絶対そんなものするつもりはありません。
 何故なら、老人は老人として沢山の良いところを持っているからです。それは人生経験の豊富さです。そして生活技術の多彩さです。私の母は85歳ですが料理の腕は抜群です。特に漬物の味は天下一品です。今はシルバー人材センターで大勢の方々が、今まで培ってきた技術を生かして社会に貢献されているようです。そんな技術的な事ばかりではなく、子供を産んで育てた経験、病気をした経験、青春の悩みを解決した経験等、もう大変な経験をして現在に至っているわけです。それを生かさない手はありません。
 今の世の中は効率や便利さを追いかけてきた結果、個別に家庭を築き年寄りと別居した家族が多くなり親と子のみの関係の家庭が殆どです。それでこの年寄りの経験を家庭内で披露する場所が少なくなっているのです。私はいつも感じる事ですが、年寄りがいる家庭の子供たちは礼儀や言葉遣いができている子が多いし、又思いやりや優しさが身についているようにも思います。これは身近に年老いた人がいることで、その交流によって自然に身についていっているのではないかと思います。今、お祖母さんが亡くなった事により家庭が壊れたりお祖父さんが亡くなった事により家庭のバランスが壊れているのもお年寄りパワーが原因かも知れません。
 戦後アメリカの個人主義があまりに強くなり、個人の権利を主張するあまり義務を忘れ、家より個人が尊重されることにより、今までの日本の良さが失われいびつな家族ができているとしか思えません。
 これからは昔のように年寄りも若い者も子供たちもみんなで共同生活をしていく社会こそまともな社会であると私は信じて疑いません。一緒に生活しましょう。又老人も汚いとか言われないように気をつけ、豊かな老境を迎えましょう。
 これからますます高齢化社会が進んでいきます。グリーンのジャンパーを着せておくだけではもったいないではないですか!!

調亮

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