サンサンコーナー
リスクとヘッジ partⅴ
日本の人口の三分の一が三大都市圏に集中する異常な時代となっています。日本の有史以来、人口がこんなに一部の地域に集中する時代があったでしょうか?なぜこんなに一極集中するのでしょうか?人の集まる所は経済が活性化するからでしょうか?人間の心理として人が沢山いれば何か食う事に困らないだろう、何か仕事にありつけるだろうと寄り集まる習性があるのでしょうか?
しかしこの人口の集中にはいろいろな弊害があると思います。まず自然の破壊です。今や東京において緑というものは殆んどなくなり、建物は高層化しビル風が起こり、ヒートアイランド現象が起き、空気が水が汚染されてきています。そして食料自給率40%という異常事態を招いています。
今大都市では自給自足ができなくなってきています。特に日本では食料は外国からの輸入に頼り、食料をお金で買って成り立っています。江戸時代の江戸の町も100万人の人口がいた世界有数の都市でした。やはり食料の自給ができなくて全国から食料を調達して江戸の町は成り立っていました。しかしその食料の供給は日本国内で賄われていました。現在のように輸入には頼っていなかったのです。
今世界の人口は90億を超えようとしています。そんな中で環境破壊による異常気象が続き、食料の不足、危機が予測されています。現に小麦等の食料価格が異常に値上りしてきています。食料が量的にある内は値上げで済みますが、これが量的に不足してきた場合はどうなるのでしょう。背筋が凍りますね。
私はもう歳だから関係ないよと言われるかもしれませんが、確実に我子、我孫にその影響が及ぶ事は間違いのないことなのです。そうなのです。そのリスクは自分たちに対してではなく子孫に降りかかってくるのです。
そのリスクをヘッジするには今我々が行動を起こさなければならないのです。この人口の集中を起こしているのは何故か、我々は深く考えねばなりません。
江戸時代の日本の村、町の殆んどは自給自足経済で自分の所で生産し消費しそして再生産という循環を繰り返していたのです。それは永続性社会の見本のようなものです。今でも大都市以外の所はその良さがまだ残されているように思えるのですが、それもどんどん破壊消滅していっているように思えます。
それは何故か?私にはそれは日本の都市計画にあると思えるのです。昭和50年に「都市計画法」という法律が国で制定され、全国一律の都市がつくられるようになったのです。私達の小松も例外ではありませんでした。全国一律の考え方で小松の都市計画が成され、それが30数年にわたり実行されてきているのです。それは人口の差はあれ、各地域の特質、特徴を失わせしめ、全国に同じような都市をつくることになってきたのです。それが大きい都市により人口を集中させる大きな要因になっているのです。何故なら同じようなものなら大きなものが常に強いからです。
江戸時代の前田家は金沢という都市、小松という都市を造り、地方色(地元ではそうは思っていませんが)豊かな都市を造り自給自足の経営をしてきたのです。金沢の城下と萩の城下、それぞれが特徴を持ち、そこに生きる人も他国人かと思うほど個性を持ち、その地域地域の人々はプライドを持ち、おらが国さの意識がとても強く地方の分権が進んでいたのです。それが全国一律の都市計画により、どこでも同じような都市計画をする事により地域の特徴が薄れてきているのです。その事が地方を弱め大都市を強める一因となっているように思えます。もしそうだとしたら、国の誤った政策によって国を弱めている。これは大変な事なのです。
地方は早く目覚めて地方独自の個性を発揮しないと我々の子孫に対して大変なリスクを残す事になるのではないかと危惧されます。
小松独自で、自分自身で考えましょう。何故なら、小松の事は小松の人が一番良く知っているのだから・・・。
調亮
2008.6.16 | 21:15