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今、日本は恵まれすぎている?

最近いろいろな事件が報道されています。そのどれもが、身の毛もよだつような殺伐としたものであり、残酷なものです。それらはどちらかというと加害者の精神に異常を感じるような事件ばかりです。それがマスコミによって報道され、毎回毎回の繰り返しにより視聴者の耳に増幅され、同じような事件が誘発されているような気さえします。
これらの事件に共通する事は、その行為の幼さではないかと思います。10代20代30代の事件もさりながら、50代60代が起こした事件さえもどうも大人になりきっていない人の行為のように思えてしょうがないのです。その原因は何かというと、例えば教育が間違っていたとか、自分の国を自分で守るという気概が大人にも子供にもないことだとか、数えあげればきりがないのではないかと思います。
しかし、その根底にある真の原因は、日本の豊かさにあるのではないかと私は思います。
今、日本はいざなぎ景気を抜く好景気が続いているといわれています。そんな中で国民は多数が高卒どころか大卒です。勉強ができても家が貧しいから上の学校へ行けない、は遠い昔の感があります。今は学問を究める為というよりも、大学へ行かないと恥ずかしいという時代です。その上、余暇をどう過ごすか、自分の時間をどう過ごすかという事で趣味の大流行り、健康志向の大流行りです。挙句の果ては自分が楽しむ為に結婚もしない、子供も持たない、育てない、と世の中逆さまになっています。
こうして見ると豊かさの為に私たちは、私が、俺が、僕が、と自分の事ばかりを追求するようになって、他人の事を顧みられなくなってきたように思えます。
私たちの先人は貧乏で、今日食べる物が無いという苦しみを味わってきました。この苦しみを家族、子供に味わわせたくなくて、一生懸命働いて現在の世の中を作り上げてきました。なるほど今では今日の食べ物が無いという家庭は無くなりましたが、もっと違う物を、もっと何か大切な物を失くしてしまったのかも知れません。それは、武士は食わねど高楊枝というような自負心を持つという事をなくしてしまった結果ではないかと思います。又これは、衣食足りて礼節を知るではなくて、衣食足りてなお礼節を忘れ、昔どこかの党が言っていましたが、もっと!もっと!と欲望の増進、どこまでももっと!もっと!と追求する飢餓地獄へと落ち込んで行っているように思います。だからこれ程恵まれた日本に住みながら、又アジアの各国から出稼ぎに来られるような日本に住みながら、充足感というか満足感が今の日本人にはないのではないかと思います。
私はこのコーナーで、今は景気が良いのだ、これからはどんどん不景気になっていくと言ってきました。今は景気が良くて実は非常に恵まれているのだという現実があるにもかかわらず、その実感がありません。それでこの恵まれた日本が今後もこのままの状態を維持できるのかといえば、残念ながら疑問符を付けなければならないと思います。つまり今の状況が最高だという事になる訳です。
この最高の日本で、将来の事を考えないで生活を謳歌していて良いのでしょうか。このツケはもうすぐ回ってきそうですね。もう回ってき始めているって?そうですね、最近の事件がそうだよと言われればそうなのかも…
もう私たちはこの事を真剣に考えなければならない時期にきているのかも知れません。豊かさが人間をダメにしているのは本当でしょうか?

調亮

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