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わからなければそれで良いの風潮

 最近わからなければそれで良いという風潮が特に強いように思われます。直近の例で言えば、志賀原発の臨界事故の報告であり、不二家の期限切れ食材を使った製品作りであり、西武ライオンズの食費補助のドラフト破り等数え上げれば限がありません。それは大企業の氷山の一角で、もっと小さい事でわからなければ‥と見過ごされている事が多発しているのではないかと思われます。経営のトップが申し訳ありませんでした、と頭を下げているのを見てもまたか、ぐらいにしか思わなくなりました。
 私は、特に北陸電力の臨界事故隠しは三つの問題を内包していると思います。
 まず第一は、事故を起こした原因です。これは技術的な問題です。対処としては技術力でカバーし、カバー仕切れない場合は廃止しなければならないと思います。
 その次には、この事故を隠蔽しようとした問題です。この問題は組織の問題です。この組織が、隠し通せればそれで良いという体質になっているとしたらこれは大変です。何故なら、これからも常に出てくる可能性があるからです。これは企業の体質、理念の問題であり、その他の事でも都合の悪い事は臭いものには蓋式にやってきたはずで、だとしたらまだまだこれからも‥‥と心配です。
 そして第三に問題なのは、検査をしているのに八年もの間その事実がわからなかったということです。これは検査をする側、つまりチェック機能に大きな問題があるのです。にも係わらず、こちらの責任には目を瞑り、北陸電力のみを責めているだけなのです。私はわからなければ何をしても良いという今の風潮の中で、企業が自主的にコンプライアンスを推進する事が無理ならば、それをチェックする機関が必要だと思います。しかし、そのチェック機関にチェック機能がないとしたら何をか謂わんやです。
 今の世の中はそういう面において非常に卑怯な人間を育てていると思います。見つからなければ何をしても良いという、この風潮が生まれたのは、知のみを重視し徳を軽んじてきた教育の悪い面が露呈してきたとしか思えません。
 私は中学生の時、岩本又次校長が朝礼で言われた言葉が今も忘れられません。それは、悪事をしてもすぐにばれますよ、何故ならその悪事は我知る、君知る、天知る、地知ると四者も知っているのだから。必ず悪事は現れますよという言葉でした。しかし今私たちは天を敬っているでしょうか、地を敬っているでしょうか。そんな教育をしているのでしょうか。人に迷惑をかける事は自分に迷惑をかける事、自分の嫌な事は他人の嫌な事であるという事を教えているのでしょうか。大学の入試にそんな問題が出たという事は聞いた事がありません。教育とは知を求め徳を積む事こそが必要です。安部首相の教育改革に期待します。
 又チェック機能の問題は社会のシステムの問題です。自分を律する事ができない体質ならば他人がそれをチェックする。その能力こそが必要なのにそのチェック者を当事者が指名するシステムこそが問題だと思います。そんな社会システムが今の世の中、行政を筆頭にもう目白押しです。利害のない第三者をチェック機能者として指名する、そんな社会がシステマチックに運営できるような人を育てる事こそが必要だと思います。
 わからなければ何をしても良いという風潮はジワジワと国を滅ぼしますよ。

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