サンサンコーナー
ある企業の環境への努力(2006/4作成)
先月21日にある企業の環境セミナーに参加しました。講師は熊本学園大学教授原田正純氏で、水俣病の話でした。水俣病は発見されて50年が経過したそうです。この50年の歳月の経過はその患者が10代20代30代の若さで殆んどの方が亡くなってしまい、もう残っているのは50代の方数人ということで風化してしまいそうです。この50年それを風化させない為に写真として残り貢献してきた被写体の、無言で現実を告げる痛ましさは涙無くしては見られませんし聞けませんでした。そしてその遺族の方々は50年も経過したのだから、もう役目を終わらせてほしいという事で、その写真の新しい印刷版はもう見られなくなるそうです。
でも水俣病は本当に風化し、無くなったのでしょうか?先生のお話では全く無くなったのではなく全世界に広がっているというのです。
水俣病とは一体何であったのかとおさらいをしてみます。水俣地区に立地するチッソの化学工場が有機水銀を垂れ流し続け、その有機水銀が魚介類に蓄積され、それを食べた人達が水銀中毒になったという事です。そしてその水銀中毒が新しく生まれてくる子供たちにまで伝わり奇形の子として生まれたという事です。でもその因果関係はなかなか分からなく、認められなく、結果甚大な被害をもたらしてしまいました。当時の医学的常識では母体の胎盤はあらゆる毒物をも通さず、胎児を護るとされていたのです。この学説によって現実を否認され続け、無視され続けた結果このように被害をとても大きくしてしまったわけです。では結論はどうかというと、自然界に身近に存在する毒物は胎盤を通さないそうですが、人間が作り出した自然界にない毒物は胎盤を通してしまうという事です。水銀は自然界にあるものですが、そんなに自然に触るものではないという事で胎盤を通り、胎児に蓄積され、水俣病となったそうです。
この事から私たちは学ばなければなりません。有機水銀は体に蓄積すると悪いという事はもちろんですが、毒物は胎盤を通さないという知というか無知がこの被害を起こし、そして大きく広げてしまったという事実です。
無知とエゴが権威・権力を持つと物事が抑えられ被害が甚大になるという典型がここにあると思います。しかし水俣病は発症したから水俣病なのです。でも水俣病も発症する前の段階が実はあったはずだというのが先生の意見で、私もその通りだと思います。誰が考えてもそうだと思うのです。今国とか県、市のレベル、外国の国家機関の考え方は発症していないから水俣病は無いと考えているそうです。
本当に無いのでしょうか?又無知とエゴが権力で抑える構図が出来上がっていると皆様思いませんか?無知とエゴが被害を起こし、無知とエゴが被害を大きくしたという水俣の惨劇を又繰り返そうとしているのでは・・・。
ちなみにこの環境セミナーの主催者は私たちの町の小松製作所です。私はゼロコミッションを目指すこの小松製作所という大企業が環境に対して真剣に取り組むこの姿勢こそが、この無知とエゴという怪物を退治する大きな力となる事を期待し、とても嬉しく思いました。
調亮
2006.8.23 | 18:48