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小成功は大失敗のもと

 私達は小さい頃から「失敗は成功のもと」と言われてきました。それは、失敗をしてもめげないで努力をしていれば必ず成功できるという励ましの言葉でした。私達はその言葉に励まされ、少々の失敗にもめげず、その失敗を糧に努力してきました。

 しかし、中国には全く逆の諺があるのです。それは「小利は大敗(損)を生ず」という諺です。どういう意味かと言いますと、小さな成功は大きな失敗の原因となる。小さな勝利は大敗につながるという意味なのです。

この言葉は実に意味深であります。小さな失敗を積み重ねていって、それを改善する事で成功に結びつけるという事の反対に、小さな成功を積み重ねるという事により、大失敗につながるという事の原因とは何なのでしょう。

 これを考えて見ます。人は失敗をすると反省をします。そしてその反省を元に対策を打ち、次は失敗しないようにしようと気持ちを引き締めます。それが大きな成功につながります。

 しかし成功をしてしまうと、それで良しとして、次の対策を怠りがちになります。全く前のままのやり方を踏襲するだけという事になりがちです。そうしますと環境の変化等があるとそれに対応できずにいて、失敗につながるという訳です。

 また人間の性として、成功するとどうしても驕り高ぶる習性があるように思います。そうすると上から目線で、物事を見るようになり、小さな変化、そして大きな変化を見逃し、大失敗という事になり易いと思います。そして成功をすると、変化を求めなくなり、改善とか改造という事を思い切ってできなくなりがちになるようです。その上、その成功体験が逆に足かせとなるようです。

 小さな例をあげますと、パチンコに勝つという事です。一度勝ちますと又勝つのではないかと行き続け、負けが込んでどうにもならなくなるまでやめられないという方が、いっぱいおられるのではないでしょうか?

 又大きな例で言えば、歴史的に見て日本が日清・日露の戦争に勝ち(日露戦争には勝ったというより、痛み分けに近かったようですが)日本の報道は勝った、勝ったと浮かれ、国民は神国日本と驕り高ぶり、その結果太平洋戦争へと導かれ導き大失敗へとつながった訳で、これこそがまさに小利が大敗を招いた好例ではないかと思われます。

 今は、その大敗の反省のしすぎで、まず行動ができないという時代なのかもしれません。

成功と失敗は、あざなえる縄のごとく表裏一体を成し、人間にとって永遠に続く課題なのかもしれません。

                           調 亮

 

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