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世の中あべこべPartⅢ

 先日久しぶりに金沢の大和百貨店へ行きました。小松に大和があった頃は、春と秋に背広を注文していました。大和が撤退して、とても不便を感じていたのですが、だんだん背広も古くなり、久しぶりに新調しようかと思い出かけたのです。

 ところが、店内に入って私は大変戸惑いを感じました。何故なら、私の居場所が無いと

言っても過言ではない程に大和自身が若者向けの店になっているのです。私の目指す背広コーナーも殆ど若者向きで、いつも行っているダーバンのコーナーも小松店の時よりも小さくなってしまい、商品数も少なく、その上どちらかというと若者好みに変身しているのです。

 私達は団塊の世代で、リタイア組も多くいますが、まだまだ元気な現役組もたくさんいます。それにもかかわらず、この世代が全然意識されていないのです。だから居る場所がないのです。リラックスするどころか、楽しむ場所もないような店舗づくりなのです。

 一世帯のうち、3人にひとりは65歳以上と言われるこの時代において、人口比でも大きな部分を占め、資産的にも収入的にも一番余裕のあるこの世代に対してこそ、店づくりから商品ぞろえ、くつろぎスペース、その他いろいろなサービスを提供すべきなのではないかと私は思うのです。

 これからは、元気な年寄り、ダンディーな年寄りを社会が育てていかなければならないというこの時期に、一切対策をしないで、昔ながらの購買層、若者、働き盛りを追っかけているマーケターの頭の中はいったいどうなっているのでしょう。世の中あべこべではないですか?

 少子高齢化社会というのは、高齢化した人が増えるという事で、この市場が拡大してきているという事なのではないですか。この高齢化層に対して、いかに社会に進出させ、いかに消費を促していくかという視点に立って、マーケターは店づくりをすべきだと思います。

 今までは、マスコミの論調も若者、若者の一点張りでの報道が目立ちますが、これからは日本の現実を見据え、年寄り、いや元気な年寄り、熟年(ネーミングは皆んなで考えましょう)こそが社会に働きかけ、街づくりをしていかねばならないのではないでしょうか。「若い者に負けておれるか」という気概を持って若者と年寄りのコラボこそが、今日本の社会に求められているのではないでしょうか!

 世の中あべこべ。隠退するのは早いですよ

調 亮

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